口腔内腫瘍

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ORAL TUMOR

口腔内腫瘍とは

口腔内腫瘍とは、歯ぐきや頬の粘膜、舌、あごの骨など、口の中にできる腫瘍の総称です。腫瘍には周囲への影響が少ない「良性腫瘍」と、進行が早く周囲の組織やほかの臓器へ広がる可能性のある「悪性腫瘍」があります。

良性腫瘍であっても、大きくなると食事や呼吸の妨げになったり、歯や骨に影響を及ぼしたりするため、積極的な手術が必要になる場合があります。一方、悪性腫瘍は挙動が悪いもの(進行や転移が早いもの)が多く、発見してから治療方針を決めるまでのスピードが予後を大きく左右します。「たかが口の中のできもの」と様子を見ているうちに進行してしまうケースもあるため、早期発見・早期診断がなにより重要です。

こんな症状はありませんか

以下のようなサインに気づいたら、良性・悪性にかかわらず、早めに口の中を診てもらうことをおすすめします。

  • 歯ぐきや頬の内側にしこり・できものがある
  • できものから出血する、血の混じったよだれが出る
  • 口臭が急に強くなった
  • ご飯を食べにくそうにしている、片側の歯でしか噛めない
  • 顔の左右差が出てきた、あごや頬が腫れている
  • 歯がぐらついている、抜けた(歯周病がない部位にも関わらず)
  • よだれの量が増えた

小さなできものは、飼い主様が気づきにくい場所(奥歯の裏側や頬の内側など)にできることも少なくありません。日頃の歯みがきやスキンシップの際に、口の中をのぞく習慣をつけていただくことも早期発見につながります。

早期発見がなぜ重要か

悪性の口腔内腫瘍は、発見時にはすでに周囲の骨やリンパ節に広がっていることも珍しくありません。腫瘍の種類によって進行の速さや転移のしやすさは異なりますが、いずれも「気づいてからすぐに検査・診断へ進めるかどうか」が、その後の治療の選択肢や愛犬・愛猫の生活の質(QOL)を大きく左右します。少しでも異変を感じたら、様子を見すぎずにご相談ください。

当院での診断

口腔内腫瘍は、見た目だけで良性・悪性を判断することができません。当院では以下のような検査を組み合わせ、できる限り早く正確な診断につなげられるよう努めています。

視診・触診
できものの大きさ、形、周囲への広がりを確認します。
口腔内レントゲン検査
あごの骨への浸潤の有無など、目で見ただけでは分からない情報を確認します。
病理組織診断(生検)
腫瘍の一部、または全体を採取し、専門機関での病理検査により腫瘍の種類を確定します。挙動の悪い腫瘍が疑われる場合は特に、早い段階での病理診断が治療方針の検討に不可欠です。

腫瘍の種類や進行度によっては、CT検査など、より詳しい画像検査が必要になる場合もあります。その際は連携する高度医療施設をご紹介することも可能です。

治療方法

治療方針は、腫瘍の種類(良性・悪性)や大きさ、できている場所、全身状態などを踏まえて総合的に検討します。

外科的切除
腫瘍とその周囲の組織を取り除く、基本となる治療法です。腫瘍の広がり方によっては、あごの骨の一部を切除する手術が必要になることもあります。
良性腫瘍の場合
再発を防ぐために、余裕をもった切除など積極的な手術をおすすめする場合があります。
悪性腫瘍の場合
外科的切除に加えて、放射線治療や化学療法を組み合わせた集学的な治療が検討されることがあります。当院で対応が難しい治療については、専門施設と連携しながら治療を進めます。

治療方針については、検査結果をもとに飼い主様としっかり相談しながら、無理のない形で決めていきます。

CASE

実際の症例紹介

※以下は構成イメージをお伝えするためのサンプルです。写真・患畜情報・経過は、実際の症例内容に差し替えてご使用ください。
※実際の症例写真を掲載する際は、飼い主様への使用許諾(同意)取得をお願いいたします。

症例1:良性腫瘍(エプリス)の外科的切除を行ったケース

犬種・年齢・性別
トイ・プードル/9歳/去勢オス(例)
主訴
歯みがきの際に歯ぐきにしこりがあることに飼い主様が気づき来院
症例1 来院時の口腔内写真

来院時

症例1 切除手術後の口腔内写真

切除手術後

来院時:前歯付近の歯ぐきに直径5mmほどの盛り上がりがみられました。出血や強い痛みはありませんでした。
視診・触診と口腔内レントゲンであごの骨への浸潤がないことを確認したうえで、病理組織診断のため腫瘤の一部を採取。結果は良性の「エプリス」と判明したため、再発予防のため周囲組織を含めた外科的切除を行いました。

手術後:腫瘤を周囲組織ごと切除。傷口は問題なく治癒しました。
術後の経過は良好で、現在まで再発は見られていません。

症例2:悪性腫瘍が疑われ、早期に病理検査へつなげたケース

猫種・年齢・性別
雑種猫/12歳/避妊メス(例)
主訴
「よだれに血が混じる」「片側の歯でしか噛まない」とのことでご来院
症例2 来院時の口腔内写真

来院時

症例2 病理検査時の口腔内写真

病理検査時

来院時:頬の内側から歯肉にかけて硬く盛り上がった腫瘤が確認され、出血もみられました。
腫瘤の広がりや性状から悪性腫瘍(扁平上皮癌など)の可能性を考慮し、できる限り早く病理組織診断を実施。結果を踏まえ、外科的切除の範囲や追加治療の必要性について、飼い主様と相談のうえ治療方針を検討しました。必要に応じて、より詳しい画像検査や治療のため専門施設と連携しながら対応にあたっています。

検査時:腫瘤の一部を採取し、病理組織診断へ提出しました。
早期に異変に気づいてご来院いただいたことで、早い段階から治療方針の検討に入ることができた症例です。

口の中のできものは、良性・悪性にかかわらず、早期発見・早期診断が何よりも大切です。
「最近できものに気づいた」「口臭や出血が気になる」という場合は、
様子を見ずにできるだけ早くご相談ください。